
目次
【結論】骨粗鬆症の方のインプラント治療、BP系薬剤服用中の注意点
骨粗鬆症の方がインプラント治療を受ける場合、骨密度や使用中の薬剤、特にビスフォスフォネート(BP)系薬剤やデノスマブが治療計画に大きく影響します。これらの薬剤は骨の代謝を抑制するため、稀に顎骨壊死(MRONJ)という重篤な副作用を引き起こすリスクがあるためです。治療の可否は、薬剤の種類(内服・注射)、服用期間、患者様個々の健康状態を総合的に評価して判断されます。安全な治療のためには、歯科医師と内科や整形外科の主治医との緊密な連携が不可欠です。
骨粗鬆症治療薬 確認チェックリスト
ビスフォスフォネート系薬剤を服用していますか?
アレンドロン酸、リセドロン酸など
デノスマブ(プラリア)を使用していますか?
半年に1回の注射薬
服用期間は3年以上ですか?
長期服用はリスク上昇
ステロイドを併用していますか?
顎骨壊死リスクの増加因子
※該当する項目がある場合は、必ず事前にお申し出ください。
骨粗鬆症とインプラント治療の基本的な関係
骨粗鬆症は、骨の量が減って骨がもろくなり、骨折しやすくなる病気です。インプラント治療は、顎の骨に人工の歯根を埋め込むため、土台となる骨の健康状態が成功の鍵を握ります。骨粗鬆症自体がインプラント治療の絶対的な禁忌ではありませんが、骨密度が低いとインプラントと骨が結合する「オッセオインテグレーション」に時間がかかったり、初期固定が得られにくかったりする可能性があります。そのため、治療前にはCT撮影などで顎の骨の状態を精密に検査し、骨造成手術などの追加処置が必要になる場合もあります。当院では、インプラント30,000本以上の実績とザイゴマインプラント1,000症例以上の経験に基づき、難症例にも対応可能です。

注意すべき薬剤:ビスフォスフォネート(BP)系薬剤とデノスマブ
骨粗鬆症治療薬の中でも特に注意が必要なのが、ビスフォスフォネート(BP)系薬剤とデノスマブ(商品名:プラリア、ランマーク)です。これらの薬剤は骨吸収を強力に抑制する作用を持ち、骨代謝のバランスを変化させます。
- ビスフォスフォネート(BP)系薬剤: アレンドロン酸(フォサマック、ボナロンなど)、リセドロン酸(アクトネル、ベネットなど)が代表的です。骨に長期間蓄積される特徴があります。 - デノスマブ: 抗RANKL抗体薬という種類の注射薬で、BP系薬剤とは作用機序が異なりますが、同様に顎骨壊死のリスクが報告されています。
これらの薬剤を服用中に抜歯などの外科的処置を行うと、傷の治りが悪くなり、顎の骨が壊死してしまう「薬剤関連顎骨壊死(MRONJ)」を引き起こす可能性があります。そのため、インプラント治療を検討する際は、必ず服用中の薬剤情報を正確に歯科医師に伝えることが極めて重要です。
— POINT
顎骨壊死(MRONJ)のリスクと休薬の考え方… … 次のセクションで詳しく解説します。
顎骨壊死(MRONJ)のリスクと休薬の考え方
薬剤関連顎骨壊死(MRONJ)は、BP系薬剤やデノスマブの服用者に起こりうる稀な副作用ですが、一度発症すると治療が困難になることがあります。主な症状は、顎の痛み、腫れ、歯ぐきの治癒不全、骨の露出などです。リスクは、薬剤の投与経路(注射薬は内服薬より高リスク)、投与期間、他の全身疾患の有無などによって異なります。 かつては外科処置前の「休薬」が議論されていましたが、米国口腔顎顔面外科学会(AAOMS)の2022年のガイドラインでは、骨粗鬆症治療のための低用量BP系薬剤の場合、一律の休薬は推奨されていません。休薬による骨折リスクの上昇というデメリットを考慮する必要があるためです。休薬の判断は、MRONJのリスクと骨折のリスクを天秤にかけ、処方医と歯科医師が連携して個別に判断します。自己判断で薬をやめることは絶対に避けてください。
インプラント治療の流れ・期間・費用の目安
骨粗鬆症やBP系薬剤服用中の方のインプラント治療は、慎重な計画のもと進められます。
- カウンセリング・精密検査: CT撮影で骨の状態を詳細に確認し、服用中の薬剤情報や全身状態を問診します。
- 処方医との連携: 内科や整形外科の主治医と連携し、インプラント治療の可否や休薬の必要性について情報共有・相談を行います。
- インプラント埋入手術: 感染予防を徹底し、低侵襲な手術を心がけます。骨の状態によっては、骨造成を同時に行うこともあります。
- 治癒期間: 骨とインプラントが結合するまで、通常より長めの治癒期間(4ヶ月〜)を設けることがあります。
- 上部構造の装着: 安定した結合が確認できたら、人工の歯を取り付けます。
費用目安
- - インプラント治療(片顎):2,200,000円(税込)〜
- - ザイゴマインプラント(追加):440,000円/本(税込)〜
- ※上記は目安であり、骨造成の有無や本数により変動します。治療費用は、個々の状態によって異なりますので、診察後の治療計画にて詳細をご説明します。当院はハイブリッドオペ室や高気圧酸素治療室を完備し、より安全性の高い治療環境を提供できる可能性があります。
よくある質問
Q骨粗鬆症の薬を飲んでいてもインプラント治療はできますか?
可能性はありますが、慎重な判断が必要です。服用されているお薬の種類(特にビスフォスフォネート系薬剤やデノスマブ)や期間によって、顎骨壊死のリスクが変わるためです。必ず事前に歯科医師にご相談いただき、内科などの主治医と連携して治療計画を立てます。
Qビスフォスフォネート系薬剤とは何ですか?
骨の吸収を抑えることで骨密度を高めるお薬で、骨粗鬆症やがんの骨転移の治療に広く用いられています。代表的なものにアレンドロン酸(フォサマック®など)やリセドロン酸(アクトネル®など)があります。まれに顎骨壊死の副作用が報告されています。
Qインプラント手術の前に薬を休む必要はありますか?
自己判断での休薬は絶対にしないでください。最新のガイドラインでは、骨粗鬆症治療のための低用量投与の場合、一律の休薬は推奨されていません。休薬による骨折リスクと顎骨壊死のリスクを考慮し、処方医と歯科医師が連携して個別に判断します。
Q顎骨壊死(MRONJ)になるとどうなりますか?
顎の骨が露出し、痛みや腫れ、排膿などが生じます。一度発症すると治りにくく、専門的な治療が必要になる場合があります。口腔内を清潔に保ち、定期的な検診を受けることが予防につながります。当院では、高気圧酸素治療室も完備しております。
Qデノスマブ(プラリア®)でも注意は必要ですか?
はい、必要です。デノスマブもビスフォスフォネート系薬剤と同様に、顎骨壊死のリスクが報告されているため、インプラント治療を含む外科処置の前には必ず申告が必要です。処方医と連携し、安全な治療計画を立てることが重要です。
Qインプラント治療の費用はどのくらいかかりますか?
当院では、片顎のインプラント治療で2,200,000円(税込)からが目安となります。骨の状態により、頬骨にインプラントを埋め込むザイゴマインプラントが必要な場合は、1本あたり440,000円(税込)が追加となります。個々の症例で費用は異なりますので、まずはご相談ください。
Q治療期間はどのくらいかかりますか?
骨粗鬆症の方の場合、インプラントと骨の結合を慎重に見るため、通常の症例より長めの治癒期間を設けることがあります。一般的に、カウンセリングから最終的な歯が入るまで、半年から1年以上かかる場合があります。
参考文献・出典
- [1]顎骨壊死検討委員会ポジションペーパー2023. 日本口腔外科学会.
- [2]American Association of Oral and Maxillofacial Surgeons. Medication-Related Osteonecrosis of the Jaw—2022 Update. J Oral Maxillofac Surg. 2022;80(5):920-943.
- [3]厚生労働省. 重篤副作用疾患別対応マニュアル 薬剤関連顎骨壊死・顎骨骨髄炎(改訂版). 2018.
記事監修

東海林弘子(しょうじ ひろこ)
ORCインプラントクリニック大磯 院長
資格・所属学会
学歴
昭和医科大学歯学部卒業
※本記事は医療広告ガイドラインに準拠して作成しています。治癒を保証するものではなく、治療効果には個人差があります。
詳しくはカウンセリング時にご説明いたします。


