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総入れ歯で噛めない・食事が辛い方へ——原因と解決策を専門医が解説
生活
公開:2026.04.0210分

総入れ歯で噛めない・食事が辛い方へ——原因と解決策を専門医が解説

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東海林弘子 院長

監修:東海林弘子

ORCインプラントクリニック大磯 院長 / ICD Fellow

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【結論】噛めない入れ歯を我慢し続ける必要はありません

入れ歯が合わなくて、硬いものが噛めない」「食事のたびに痛みがある」「入れ歯が外れそうで、人前での食事が億劫になった」。総入れ歯をお使いの方から、このようなお悩みを伺うことは珍しくありません。食べることは、栄養を摂取するだけでなく、人生の大きな楽しみの一つです。その楽しみが奪われることは、心身の健康に深刻な影響を及ぼします。噛めない状態を「年齢のせいだから仕方ない」と諦める必要はありません。現代の歯科医療には、All-on-4インプラントオーバーデンチャーなど、噛む力を取り戻すための選択肢が複数存在します。この記事では、総入れ歯で噛めなくなる原因を整理し、それぞれの解決策について、メリットとデメリットを含めて詳しく解説します。

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なぜ総入れ歯では噛めなくなるのか——3つの根本原因

入れ歯で十分に噛めなくなる背景には、主に3つの原因があります。

第一に「顎の骨の吸収」です。歯を失うと、歯を支えていた顎の骨(歯槽骨)は、役割を失って徐々に痩せていきます。これを「骨吸収」と呼びます。骨が痩せると入れ歯を支える土台が小さくなり、入れ歯の安定性が低下します。特に下顎は上顎に比べて骨吸収が進みやすく、入れ歯が動きやすくなる傾向があります。

第二に「入れ歯の適合不良」です。顎の骨は年月とともに変化し続けるため、作製時にぴったり合っていた入れ歯も、数年経つと合わなくなることがあります。合わない入れ歯を使い続けると、歯茎に痛みや傷が生じ、さらに噛みにくくなるという悪循環に陥ります。

第三に「噛む力の低下」です。天然の歯で噛む力を100とした場合、総入れ歯で発揮できる噛む力は、一般的に10〜20程度とされています。これは入れ歯が歯茎の粘膜で支えられているためで、骨に直接固定されている天然歯やインプラントとは構造的に大きな差があります。

比較項目天然歯総入れ歯インプラント
噛む力(目安)100%10〜20%80〜90%
固定方法歯根が骨に固定歯茎の粘膜で支持人工歯根が骨に固定
骨への刺激ありなし(骨吸収が進行)あり(骨吸収を抑制)
味覚への影響なしあり(上顎を覆うため)なし

※費用は医療機関により異なります。上記は一般的な目安です。

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噛めないことが体と心に与える影響

「噛めない」という問題は、単に食事の不便さにとどまりません。全身の健康と精神的な生活の質(QOL)に広範な影響を及ぼすことが、近年の研究で明らかになっています。

栄養面では、硬い食品を避けるようになることで、食事内容が偏りがちになります。肉類、生野菜、果物、ナッツ類などが食べにくくなり、タンパク質、ビタミン、ミネラル、食物繊維の摂取量が減少する傾向があります。これは筋力の低下(サルコペニア)や免疫力の低下につながる可能性があります。

認知機能との関連も注目されています。噛むという行為は脳への血流を促進し、認知機能の維持に寄与するとされています。歯の喪失や咀嚼機能の低下が認知症のリスク因子となりうることを示す疫学研究も報告されています。

精神面では、食事を楽しめないことによるストレスや、入れ歯が外れることへの不安から、外食や人との会食を避けるようになり、社会的な孤立につながるケースもあります。「好きなものを自由に食べられる」ということが、いかに生活の質を支えているかを、歯を失って初めて実感される方は多いのです。

— POINT

解決策1:All-on-4——最少4本のインプラントで全ての歯を固定… … 次のセクションで詳しく解説します。

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解決策1:All-on-4——最少4本のインプラントで全ての歯を固定

All-on-4(オールオンフォー)は、片顎あたり最少4本のインプラントを顎の骨に埋入し、その上に12本分の連結した人工歯を固定する治療法です。総入れ歯で噛めないとお悩みの方にとって、最も劇的な改善が期待できる選択肢の一つです。

All-on-4の大きな特徴は、手術当日に仮歯を装着できる「即時荷重」が可能な点です。朝に手術を受け、その日の夕方には仮歯で食事ができるようになるケースもあります。また、骨が比較的残っている部位を選んでインプラントを斜めに埋入する設計のため、骨造成(骨を増やす手術)を回避できることが多く、治療期間の短縮と患者様の身体的負担の軽減につながります。

一方で、注意すべき点もあります。外科手術を伴うため、術後の痛みや腫れ、内出血が生じる場合があります。また、自由診療のため費用が高額になります。さらに、上顎の骨が極端に少ない場合は、通常のAll-on-4では対応が難しく、ザイゴマインプラント(頬骨を利用した特殊なインプラント)の併用が必要になることがあります。当院はZAGA CENTER認定施設として、このような難症例にも対応しています。

当院でのAll-on-4の実績は3,000症例以上にのぼります。ただし、すべての方に適した治療法というわけではなく、骨の状態や全身の健康状態によって適否が異なります。

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解決策2:インプラントオーバーデンチャー——入れ歯の安定性を向上

インプラントオーバーデンチャーは、2〜4本のインプラントを顎の骨に埋入し、その上に取り外し可能な入れ歯を固定する治療法です。All-on-4のような完全固定式ではありませんが、通常の総入れ歯と比較して格段に安定性が向上します。

この治療法のメリットは、少ない本数のインプラントで済むため、All-on-4と比較して費用を抑えられる点、手術の侵襲が比較的小さい点、そして入れ歯を取り外して清掃できるため衛生管理がしやすい点です。特に、全身疾患などの理由でAll-on-4のような大きな手術が難しい方や、費用面での制約がある方にとって、現実的な選択肢となります。

デメリットとしては、固定式のAll-on-4ほどの噛む力は得られないこと、入れ歯部分の定期的な調整や修理が必要になること、そして上顎の場合は入れ歯が口蓋(上あご)を覆う設計になることがある点が挙げられます。

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入れ歯の調整・作り直しという選択肢

インプラント治療以外にも、現在お使いの入れ歯を調整したり、新しく作り直したりすることで、噛む力が改善する場合があります。

入れ歯が合わなくなっている場合、裏打ち(リライニング)と呼ばれる処置で、入れ歯の内面を顎の形に合わせて修正することが可能です。また、噛み合わせのバランスが崩れている場合は、咬合調整によって改善が見込めることもあります。

ただし、顎の骨の吸収が進行している場合は、入れ歯の調整だけでは根本的な解決にならないことも事実です。骨が大幅に痩せてしまった方の場合、どれほど精密に作られた入れ歯であっても、安定性には限界があります。

どの方法が最適かは、患者様の口腔内の状態、全身の健康状態、ご希望、そしてご予算を総合的に考慮して判断する必要があります。当院では、インプラント治療だけを勧めるのではなく、入れ歯の改善も含めた複数の選択肢をご提示し、患者様にとって最善の方法を一緒に考えていきます。

— POINT

治療の流れ・期間・費用の目安… … 次のセクションで詳しく解説します。

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治療の流れ・期間・費用の目安

当院でAll-on-4治療を受ける場合の一般的な流れは以下のとおりです。

  • 初診カウンセリング(基本検査込み)5,500円(税込)
  • お悩みやご希望をお伺いし、口腔内の状態を確認します。
  • 精密検査と診断
  • 歯科用CTによる骨の状態の評価、口腔内スキャンなどを行い、治療の適否と最適な方法を診断します。
  • 治療計画のご説明
  • 検査結果に基づき、治療法、期間、費用、リスクについて詳しくご説明します。
  • 手術と仮歯装着
  • 麻酔科医の管理のもと、インプラントを埋入し、多くの場合は当日中に仮歯を装着します。
  • 治癒期間
  • インプラントと骨が結合するまで、約3〜4ヶ月の期間を置きます。
  • 最終的な人工歯の装着
  • 審美性と機能性に優れた最終的な上部構造を装着して治療完了です。

費用の目安:All-on-4は片顎2,200,000円(税込)から。ザイゴマインプラントが必要な場合は1本あたり440,000円(税込)が追加となります。インプラント治療は医療費控除の対象です。

所在地:神奈川県中郡大磯町大磯1446 アクセス:JR東海道線「大磯」駅より徒歩8分

FAQ

よくある質問

Q総入れ歯からAll-on-4に変えることはできますか?

A

はい、多くの場合は可能です。ただし、顎の骨の状態によって治療計画が異なります。骨が十分に残っている場合は通常のAll-on-4で対応でき、骨が著しく不足している場合はザイゴマインプラントの併用を検討します。まずは精密検査で骨の状態を確認することが第一歩です。

QAll-on-4の手術当日から食事はできますか?

A

はい、多くの場合、手術当日に仮歯を装着しますので、その日から柔らかい食事を召し上がっていただけます。ただし、仮歯の期間中は硬いものや粘着性のある食品は避けていただく必要があります。最終的な人工歯が入った後は、ほとんどの食品を楽しめるようになります。

Q入れ歯とインプラント、どちらが良いですか?

A

どちらが良いかは、患者様の口腔内の状態、全身の健康状態、ご希望、ご予算によって異なります。インプラントは噛む力や安定性に優れますが、外科手術を伴い費用も高額です。入れ歯は手術不要で費用を抑えられますが、噛む力には限界があります。当院では両方の選択肢を比較しながら、最適な方法をご提案します。

Q高齢でもインプラント治療は受けられますか?

A

年齢だけを理由にインプラント治療ができないということはありません。重要なのは全身の健康状態と顎の骨の状態です。当院では提携する内科クリニックとの医科連携体制を整えており、全身疾患をお持ちの方も安全に受け入れられる環境を構築しています。まずはご相談ください。

Q入れ歯安定剤を使い続けるのは問題ありますか?

A

入れ歯安定剤の一時的な使用は問題ありませんが、常用が必要な状態は、入れ歯が合っていないサインです。合わない入れ歯を安定剤で無理に使い続けると、顎の骨の吸収が加速したり、歯茎に炎症が起きたりする可能性があります。安定剤が手放せない場合は、入れ歯の調整やインプラントを含めた他の選択肢を検討されることをお勧めします。

参考文献・出典

  • [1]Thomason, J. M., et al. (2012). Mandibular two implant-supported overdentures as the first choice standard of care for edentulous patients. British Dental Journal, 212(5), 271-275.
  • [2]Maló, P., et al. (2011). A longitudinal study of the survival of All-on-4 implants in the mandible with up to 10 years of follow-up. Journal of the American Dental Association, 142(3), 310-320.
  • [3]日本補綴歯科学会. (2019). 有床義歯補綴診療のガイドライン.
  • [4]厚生労働省. (2012). 医療広告ガイドライン.

記事監修

東海林弘子 院長

東海林弘子(しょうじ ひろこ)

ORCインプラントクリニック大磯 院長

資格・所属学会

歯科医師ICD Fellow(国際歯科学士会)厚生労働省臨床研修医指導医日本口腔インプラント学会会員国際歯周内科研究会認定医日本アンチエイジング歯科学会理事

学歴

昭和医科大学歯学部卒業

公開日:2026.04.02最終更新日:2026.04.02読了時間:10分

※本記事は医療広告ガイドラインに準拠して作成しています。治癒を保証するものではなく、治療効果には個人差があります。
詳しくはカウンセリング時にご説明いたします。

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